隣村の居酒屋に行ってきた。マスターひとりで切り盛りをしている居酒屋は大家さんのレストランの一部のスペースを間借りしているのだが、壁、看板、テーブルのすべてをマスターひとりでこしらえた手作りの店。手作りと言っても古民家改造とか古いマンションをリノベーションしたような今風のおしゃれカフェ感覚ではなく、あくまでも近くのホームセンターで材料を買い集めて作りましたという感じで好感が持てる。
この居酒屋は村の電話帳に載ってなく、都会にありそうな隠れ家ダイニングのような電話番号の伏せ方ではなく単に固定電話を敷いてないだけ。
「電話番号? 取りあえず店に来るときは俺の携帯電話に電話してくれよ」
ということなので、ここに行くときはマスターの携帯電話に連絡をして予約をする、というか店が開いているのかどうかを確認すると言ったほうが正しい。
この居酒屋にはメニューにはソフトドリンクが無い。以前車で来たときにウーロン茶を頼んだら、マスターは当然のように外の自動販売機からウーロン茶を買ってきて、
「この自動販売機はウチのじゃないんだよねぇ。120円ね。じゃ、取りあえず、おでんから出そうかな・・・」
と言った。メニュー表はあるけど本当のメニューはマスターの頭の中にあるらしい。
BGMのハマショーのすり切れたカセットはオートリバースを続け、イージーライダーとボブ・マーリーのちょっぴりアウトローなポスターとお客さんが楽しくグラスを傾けているスナップが壁を飾り、多分に大家さんのものと思われるテレビからは日本シリーズが実況中継されており、まるでここは21世紀の1985年。目の前の時計は調子が悪いのか秒針だけが45秒あたりでピクラピクラしているので永ちゃんの歌のまんま。
先輩より後輩の数が多くなってしまった年齢の僕たちだけど、ここではまだまだ説教される若者扱い。それがなんとも心地よい。
「善い店には善い客が付く」
「安い値段でそこそこ上手いもんを食わせるやつにはいろんな才能が宿る。工夫があるから。」
と言っていた先輩の言葉をふと思い出す。
今度は中学の先輩たちがのんびりとお酒を飲めるように僕も工夫しなければと思った。

1984年に廃止された日中線の駅“あいづむらまつ”の文字が見える喜多方駅の看板。もちろん現役のものです。裏側だから消してないのね。律儀に“KI TA KATA”とスペースを入れています。

13時の汽車。鉄橋はトラス(汽車の真下)部分だけ新しくペンキを塗りました。